すっぱいみかんを甘くするには?果物の甘味と酸味って?
- この記事を書いた人
- 相馬志保
生産から販売まで行う有田みかんの会社「早和果樹園」直販部EC事業課所属
みかんを美味しく食べる方法や、ジュース・ジャムのアレンジレシピをご紹介します。
「みかんはもっと美味しくなれる」が私のモットーです。
目次
冬の風物詩みかん、皆さんは食べたみかんが酸っぱかったことってありませんか?実は酸っぱさの原因はみかんに含まれる酸味成分クエン酸にあります。今回のブログでは酸味の原因であるクエン酸を減らしてみかんの酸っぱさを軽減する方法をご紹介します。
酸っぱいみかんを甘くする方法
みかんを甘くするためはみかんの酸味を減らす必要があります。みかんに含まれる酸味成分であるクエン酸を減らすもっとも簡単な方法はみかんに刺激を与えることです。
みかんに刺激を与える
みかんをもんだり、お手玉のように投げて刺激を与えましょう。刺激で細胞についた傷を修復しようとクエン酸が消費され、酸味がやわらぎ甘みを感じやすくなります。
温める
みかんに熱を与えるとクエン酸を分解させる酵素が働きます。
・40度前後のお湯に10分ほど浸す
・フライパンや網でまるごと焼く
・皮に切り込みを入れ、電子レンジで30秒加熱する
などの方法があります。
みかんをすぐに食べずにおいておく
みかんは呼吸にクエン酸を使うため、食べずにおいておくと自然とクエン酸が減っていきます。
腐らないよう通気性のよいかごに入れ、重ならないよう冷暗所に置いておくと長持ちしますよ。
みかんやフルーツの甘みや酸味について
糖度が高い果物は甘くて美味しいのでは?と思われる方が多いと思います。しかし美味しい果物に大切なのは甘味比です。甘味比とは甘味と酸味のバランスのことを言います。最適な甘味比は種類や品種によってばらばらですが、酸味が強いとその果物の糖度が高くても糖度が低いものよりすっぱく感じることがあります。
ここからはみかんに限らず果物全般の甘み、酸味成分についてご紹介します。
みかんに含まれる甘味とは?
甘味成分である糖は果物に多く含まれる成分の一つです。
果物にはショ糖、ブドウ糖、果糖の3種類の糖が含まれており、みかんも同様に3つの糖で構成されます。その中でもみかんはショ糖の割合が大きいなど、果物によって構成比が違い、味わいも異なります。
多く含む果物 | 特徴 | |
果糖 | リンゴ、ビワ、ニホンナシ | あっさり |
ショ糖 | 温州ミカン、カキ、モモ、バナナ、パイナップル | 自然でソフトな甘味 舌に残る |
ブドウ糖 | オウトウ、ウメ | 爽やかでソフト |
それではここからはより詳しく果物の甘味成分についてみていきましょう。
〇「果糖」:リンゴ、日本なし、びわなどに多く含まれる
果糖は最も甘みが強く、あっさりしているのが特徴です。冷やすと甘さが増すことで知られており、食べる前に冷蔵庫で冷やすとより一層甘さを感じることができます。
〇「ショ糖」:うんしゅうみかん、柿、桃、バナナなどに多く含まれる
ショ糖はソフトで自然な感じがする甘みです。舌にしっかり残るのが特徴です。
〇ブドウ糖:サクランボ・梅などに多く含まれる
さっぱりさわやかな甘みが特徴です。体に吸収されやすい糖でエネルギー供給源になります。
脳が効率的に働くためには欠かせない糖です。
甘さにも様々な特徴があり、特性を生かすことでより甘く果物を楽しめるのかもしれませんね。
みかんに含まれる酸味とは?
果物に含まれる酸味成分は主にクエン酸とリンゴ酸です。みかんの酸味成分もこの2種類で構成されていますが、9割がクエン酸であると言われています。その他の果物に含まれる酸の例として、ブドウに含まれる酒石酸、キウイに含まれるキナ酸なども挙げられます。
多く含む果物 | 特徴 | |
クエン酸 | みかん(柑橘)、ウメ | 爽快な酸味 |
リンゴ酸 | リンゴ、ニホンナシ、オウトウ、モモ | 爽やかな酸味で舌に残る |
酒石酸 | ブドウ | 少し渋みのあるやや鋭い酸味 |
キナ酸 | クランベリー、キウイ | 控えめな優しい酸味 |
〇クエン酸:みかん(柑橘)、ウメなどに多く含まれる
みかんに含まれる酸の約9割を占めるクエン酸。柑橘類や梅干しなど、思い出すだけで唾液が出てくるような食べ物によく含まれており、疲労回復や夏バテの予防や回復につながるとされています。
〇リンゴ酸:リンゴ、モモ、ナシなどに多く含まれる
少し甘みのある爽やかな酸味が特徴です。リンゴから発見されたことからリンゴ酸と名づけられました。疲労回復の効果に加えて、歯のホワイトニング効果なども期待され歯磨き粉にも使われています。
〇酒石酸:ブドウなどに多く含まれる
わずかに渋みのある爽やかな酸味が特徴です。ブドウやレモンなど酸味と渋みのある果物に含まれます。食品添加物や医薬品にも使用されています。
〇キナ酸:キウイ、クランベリーなどに多く含まれる
優しい控えめな酸味が特徴のキナ酸。尿路感染症やアルツハイマー病を予防するとされています。キナ酸が発見されたキナの木は古くから薬品に用いられてきました。
- みかんを甘くする方法は?
- ①みかんに刺激を与える
②熱を与える
③すぐに食べずにおいておく
これらは酸っぱさの原因となるクエン酸を分解してくれます。
まとめ
本日は有田みかん専門店早和果樹園が酸っぱいみかんを甘くする方法から果物に含まれる甘味や酸味成分についてご紹介いたしました。酸っぱいみかんに出会ったときはこの記事をぜひ参考にしてみてくださいね。
【参考文献】
・フルーツの便利帳、三輪正幸監修、高橋書店出版、P30.31.32.33参照:2022-09-20
・農学基礎シリーズ 果樹園芸の基礎、伴野潔・平智著作、農文協出版、P134.135.136参照:2022-09-28
・園芸研究所果樹研究センター、富山県農林水産総合技術センター、「果物が美味しいわけ」
・西本薬品株式会社、「ちょこっとまめ知識 クエン酸とは」、参照:2022-09-28
- この記事を書いた人
- 相馬志保
生産から販売まで行う有田みかんの会社「早和果樹園」直販部EC事業課所属
みかんを美味しく食べる方法や、ジュース・ジャムのアレンジレシピをご紹介します。
「みかんはもっと美味しくなれる」が私のモットーです。